Consultation
言語聴覚士への
相談・指導内容
医師 渡邊雄介による声の相談の案内はこちら
吃音の相談
吃音とは、発話時に同じ音を繰り返したり、音を引き延ばしたり、言葉が詰まったりする症状を指します。幼児期に発症する吃音の約7~8割は自然に治癒すると考えられていますが、学齢期やその後も吃音が続く方もいらっしゃいます。当相談室では、幼児期から学齢期、そして成人期に至るまで、安心して通い続けられる場所を提供し、各年齢やお子さまのニーズに応じた指導を行っています。特に早期介入が望まれる幼児期には、まず環境調整としてご家族への助言を行い、その後、DCMに基づくアプローチやリッカムプログラムを実施したします。安心してご利用いただける支援環境を整え、皆さまの成長をサポートいたします。
詳細な内容
幼児期: 2021年に発表された幼児吃音臨床ガイドラインに基づき、発吃から間もないお子さまにはまず環境調整を行います。その後、DCM(Demands and Capacities Model)に基づくアプローチや、流暢な発話を強化するリッカムプログラムを実施します。DCMやリッカムプログラムは自宅での取り組みが中心となるため、日々の吃音の記録と自宅での取り組みの様子を録画していただき、それらを共有することで、細かな部分に対して丁寧に指導いたします。リッカムプログラムは、ワークショップを受講済みの言語聴覚士が対応いたします。
学齢期: 吃音の症状や吃音に対する自覚、困り感などが変化する時期でもあるため、吃音に対する理解を深め、困ったときの対処法であるコーピングスキルの習得や、安心して話せる環境を作るために周囲への働きかけを行います。また、必要に応じて学校やことばの教室と連携を図ることもあります。低学年のお子さまにはリッカムプログラムを実施する場合もありますが、年齢が上がるにつれて自宅での取り組み時間の確保や保護者との関わりが難しくなることがあります。そのため、発話そのものをコントロールする流暢性形成法などを取り入れ、自信をもって話せるようサポートも行っていきます。
思春期: 吃音をコントロールするための流暢性形成法や吃音症状を和らげる吃音緩和法など、吃音そのものに直接アプローチする方法を取り入れます。さらに、吃音によって引き起こされる社交不安やそれに伴う不安感や回避行動を軽減するため、認知行動療法を組み合わせた支援を提供します。持続的なサポートを通じて、二次的な問題の予防と軽減を目指していきます。
成人期:挨拶や電話、特定の人との会話の場面で言葉が詰まったり、吃音の症状が強く出るという相談を受けることがあります。これらの症状を軽減するために、流暢性形成法や吃音緩和法を導入し、さらに予期不安による症状を和らげるために認知行動療法を組み合わせています。これらのアプローチを通じて、実際の困難な場面を想定した取り組みを行うことで、日常生活での困り感を軽減し、生活の質を向上させることを目指しています。
発音の相談・大人の発音矯正
当相談室では、子どもから大人までを対象に、カ行やサ行などの発音の誤りや、側音化構音障害によるイ列の音(キ、シ、チなど)の発音のしにくさや違和感に対する訓練を行っています。また、小学校受験を控えているお子さまへの構音訓練や、声優・アナウンサーなどプロフェッショナルの方々への発音指導も行っています。さらに、口蓋裂や難聴などにより発音が難しい方々に対しても、可能な限り医療機関と連携を図りながら、適切な構音訓練を提供いたします。
詳細な内容
構音検査を行い、誤りの原因を明確にします。年齢や誤りの種類に応じて取り組む内容は異なりますが、発音のメカニズムを理解していただいたうえで、舌の運動やコントロール、音韻認識、聴覚弁別などにも取り組みます。一つひとつの音を獲得し、日常の場面で般化していくための取り組みを実施いたします。
例)
・カ行がタ行に誤る (みかん→みたん)
・サ行が赤ちゃん言葉のように聞こえる (あいす→あいちゅ)
・シ、チ、キなどのイ列の音が言いにくい=側音化構音障害
(し→ひ、ち→きのように聞こえる)
・ラ行が出しづらい
・口唇口蓋裂、粘膜下口蓋裂により音が鼻に漏れる、全体的に音がはっきりしない
・難聴により不明瞭な発話になる
・声を仕事にする(声優・アナウンサーなど)プロフェッショナルの方々の悩み
・その他、発音に関する悩み事
声の相談
声が出しにくい、かすれる、思うように声が響かないなど、声に関するお悩みに対して指導を行います。
詳細な内容
音声学の知識と発声メカニズムについて詳しくご説明いたします。また、音声分析ソフトを用いて客観的な評価を行い、それに基づいて呼吸法、共鳴腔の使い方、発声方法などを具体的に指導いたします。必要に応じて、医療機関への紹介も行います。
ことばの相談
ことばが出ない・ゆっくり、二語文が出ない・少ない、園や健診でことばの遅れを指摘された、ことばでの説明が苦手といったお子さまに対して、ことばを引き出す関わり方や、ことばやコミュニケーション能力の向上を目指した取り組みを実施いたします。
詳細な内容
必要に応じて、言語能力のスクリーニングおよび評価を行い、現在の言語発達の状況を把握いたします。運動能力や理解力、表現力、コミュニケーションへの姿勢など、課題がある部分をある程度特定し、個々に合った支援策を提案いたします。自宅で実施できる具体的な方法や、必要に応じて療育の提案や知能検査の検討も行います。ことばでのコミュニケーションが困難な場合には、絵カードを使った絵カード交換式コミュニケーションシステム™( PECS® )を導入し、自己表出や言葉を使ったコミュニケーションの促進をサポートいたします。
学習の相談
当相談室では、発達性読み書き障害(ディスレクシア)や学習障害をお持ちの方、また読解や算数において難しいと感じている方に対し、専門的な相談と支援を提供しています。
詳細な内容
個々の状況やニーズに応じたアプローチが重要のため、まずは読み書きに関するスクリーニング検査を行います。必要に応じて、他機関で知能検査を受けていただくこともあります。その後、それぞれの状況に合わせた適切な課題と支援を提供し、成功体験を積極的にフィードバックすることで、モチベーションを維持しながら指導を行います。